『後でやる』が止まらない!ADHDの夫との『先延ばし』と向き合う日々

「後でやる」が続く理由とは?ADHDの特性とその影響

「後でやる」って、最初は軽い言葉に思えても、意外に大きな問題に繋がることがある。
特に、ADHDの特性を持っている人にとって、この「後でやる」という習慣は、生活のあらゆる場面で影響を及ぼすことが多い。

うちのぽんさんも、まさにその典型だ。
実は、私たちがイタグレのベルをお迎えしたときから、ぽんさんがずっと「ベルの可愛さを世に広めたい」と言って、動画を撮ってアップしたいと考えていた。
初めは「いつかやろう」と言っていたその夢も、時間が経つにつれて「やり方調べてるから」と言って、いつまで経っても実行に移せない。
気づけば数年が経ってしまった。

「やらないの?」と言ってしまう私の気持ち

私はぽんさんに「動画、撮らないの?」と何度も聞いてみたけれど、いつも同じ返事。
「やり方を調べてる」の一言で終わってしまう。

私から見ると、「今すぐスマホで撮ればいいのに」と思ってしまうけど、ぽんさんにとってはそう簡単じゃないらしい。
「ちゃんとやりたい」「どうせなら完成度を高くしたい」という気持ちが先に立って、かえって始められなくなるのだ。

最初の頃はその言葉を信じて待っていたけれど、気づけばその待機時間が長すぎて、ついに私も「これって先延ばしの問題なんだ」と感じ始めた。

ぽんさんは、ADHDの特性を持っているからこそ、この「後でやる」という考えが強く出てしまう。
これはただの意志の問題ではなく、ADHDの脳が関わっている。
ADHDの特性には、注意を集中させるのが難しい、作業を始めるのが面倒だと感じる、といった傾向がある。
そのため、ぽんさんが動画を撮ろうと思っても、何か新しい行動に踏み出すのが難しく、結局そのまま先延ばしにしてしまう。

私も最初は、この「後でやる」問題に戸惑った。
ぽんさんが何度も「後でやる」と言っていたのに、結局その後が来ることがないから、最初は心配していた。

さらに自白すれば、私は何度か「やらないの!?」とイラッとして聞いてしまったことがある。
私にとっては、小さな目標を作って積み重ねていけばいいと思っていたし、やりたいことは早くやりたいので、やりたいことを先延ばしにするその感覚が分からないからだ。

一個ずつ小さいことから始めて、とりあえずやっていこうよ」と何度も伝えてみたけれど、その時はぽんさんも良い返事をして頷いてくれるけれど、結局やらない。
それが続くと、私はついイライラしてしまう。
でも、ある日ぽんさんが言った一言が、私の理解を深めてくれた。

「後でやるって思ってるんだけど、やる気が出ないんだよね。」

ぽんさんの言葉が教えてくれた、ADHDの先延ばしの背景

この言葉を聞いたとき、私は「なるほど」と腑に落ちた。ぽんさんの脳は、物事をすぐに始めることに対して、何らかの壁を感じている。それは、意志の弱さとか怠け癖といったものとは違って、脳の働きによるものだと分かった。そのときから、ぽんさんに対して「なぜやらないの?」と責める気持ちが少なくなった。

さらに、ADHDの特性として、「目の前のことに集中しやすい反面、計画的に物事を進めるのが難しい」という特徴もある。
ぽんさんはその特性によって、目の前にある小さな課題に集中することは得意でも、長期的な計画を立てたり、それを実行に移すことには苦手意識が強い。
だからこそ、動画を撮ろうと思っても、そこまでの道筋を考えることができず、結果的に「後でやる」にしてしまうのだ。

「後でやる」の解決には時間がかかる―私たちの試行錯誤

「後でやる」問題の解決は本当に難しくて、今も日々奮闘しているところ。
ぽんさんのADHDの特性と向き合うこと、そしてどうしたら彼が少しでも楽に行動できるようになるのかを、日々考え続けている。
そして、私たちが快適に暮らしていくために、必要なことを一緒に見つけていこうとしている。

そのためには、ぽんさんに対して具体的な方法を提案してみることが大切だと感じている。
例えば、動画を撮る場合、まずは簡単なカメラの使い方を確認して、一緒に短い動画を撮ってみるというように、始めやすい方法に分けていくこと。
また、「後でやる」と思っていることを、実際に書き出してみることで目の前のタスクが具体的になり、取り組みやすくなる。

そして、もうひとつの方法は、ぽんさんが「後でやる」と思っていることを、実際に書き出してみることだ。
書き出すことで、「後でやる」という漠然としたものが、目の前の具体的なタスクとして明確になり、やる気を引き出すことができる。
そして、時間があればその場でやってしまう。
もしそれができなくても、「何時までにやる」という具体的な時間を設定することで、無駄に先延ばししないように心掛けている。

ADHDの特性に苦しむことは多いけれど、その特性を理解し、適切にサポートすることで、ぽんさんがよりスムーズに生活できるようになると感じている。
もちろん、まだ完全に「後でやる」問題を解決できたわけではないけれど、少しずつ方法を試しながら改善を目指している。

小さな一歩から

ぽんさんにとっても、この「後でやる」を克服するための一歩一歩は、小さな成功の積み重ねだ。
「できた!」という成功体験が重なっていけば、きっと次に踏み出す一歩が軽くなるはず。
一緒に歩みながら、ぽんさんの特性に合わせた方法を見つけて、二人で少しずつ進んでいけたらいいなと思っている。

結局、「後でやる」という習慣が私たちの生活に与える影響は小さくない。
「こうしたら一発で解決!」なんて裏技はないし、今もイラッとする時だってある。
でも、それを乗り越えるためには、ただ待っているだけではなく、お互いに理解し合い、少しずつ歩み寄って改善していくことが大切だと実感している。
今日もまた、ぽんさんと一緒に、やるべきことを少しずつクリアしていこうと思う。