いちごだけは絶対に譲れない犬の話

いちご愛がすごすぎるベル

うちの愛犬ベルは、いちごが大好きだ。

どれくらい好きかというと、チキン系のおやつよりも、クッキーやバナナよりも、何よりもいちご。というくらいのいちご党。
赤くて甘酸っぱいいちごを見せただけで、目の輝きがパァッと変わる。

「いちごが好きとか可愛すぎかよ…!」と、犬飼い友達さんから黄色い歓声をいただいたこともあるくらいだ。

飼い主も、実はいちご好きだったけど…

私ももともと、いちごは好きだった。
どちらかと言えばいちごのスイーツが好きで、よくコンビニのいちごスイーツをごほうび代わりに楽しんでいた。

でもベルをお迎えしてからは、いちごスイーツをほとんど買わなくなった。
ショートケーキやタルトの中に入っているいちごは、ベルに分けてあげられない。

それを目の前で食べるのは、どうにも罪悪感がある。
なにせ「いちご、くれないの…?」「信じられない…ひどい…」とでも言いたげな、絶望を浮かべた目を見たら到底食べられない。

だから今は、ベルと分け合える“生のいちご”ばかり買うようになった。
美味しそうに、幸せそうに頬張るあの顔を見ると、「また買ってこようかな」って思ってしまう。

普段は控えめ、でもいちごは別

私やぽんさんが食事をしていても、ベルはけっこう大人しい。
食事前は背伸びして、どうにか食卓を覗こうと二本足で踏ん張っているけど、そのうち飽きて近くで丸くなる。

「食い意地がない犬ってすごいよね」とぽんさんと感心していたくらいだ。

でもいちごだけは別格。

いちごのときだけは、絶対に諦めない。
最後のひとかけらがなくなるまで、ずっと見てる。
何度「もうないよ~」と言ってもしばらく信じてくれず、お皿をじっと見つめている。

食べやすくするためにサイコロカット

実はいちごのあげ方にも、ちょっとした工夫をしている。
以前、小さめのいちごを丸ごとあげたら、ベルがなかなか食べられず、「アリかな?」と思うくらいちまちまと舐めていたことがあった。
どうやって食べていいか分からず、困っていたみたい。

そこで、それ以来ぽんさんが「小さめのサイコロカット」をしてあげている。
小さく切ったいちごをもぐもぐしている間は、ベルは他の食べ物を欲しがることもなく、おかわりを求めることもなく、ただその幸せを静かに堪能している。

その姿を見ると、「ああ、またこの子にいちごを買ってあげよう」と思ってしまうのだ。

あげすぎには要注意。でも、また買っちゃう

もちろん、いちごは糖分もあるし、食べすぎればお腹を壊してしまう。
嬉しそうな姿を見たら、もっと喜ばせたくなってしまうのが飼い主の性(さが)だ。
でももちろんベルの健康が最優先なので、あげすぎないように徹底している。

犬の好みは本当にさまざまで、いちごに見向きもしない子もいれば、ベルみたいに夢中になる子もいる。
これからも、ベルの“好き”をいろいろ発見できたらいいなと思う。

でも、あのいちごを頬張る幸せそうな顔を見ると……やっぱりまた、いちごに手が伸びる。
なかなか新規開拓ができない。

スーパーにいちごが並び始める季節になると、ベルがしっぽをブンブンする姿を思い浮かべてほっこりする。
早く帰って、一緒に食べよう。
そんなことを思いながら、今日もいちごに手を伸ばす。